ラボサラリーマンの勉強部屋

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新型コロナウイルス(COVID-19)をアルコール消毒で正しく殺菌する方法

こんにちは!ラボサラです。

 

今日は、新型コロナウイルス対策として効果があるアルコール消毒について解説します。

私自身も日頃から手洗い等の予防を意識的にしていますが、ふと「アルコール消毒ってなんで効果があるんだろう?」と思い立ち調べてみました。

コロナウイルスはアルコール消毒をすれば大丈夫!」というのは確かに事実ですが、一方で正しい使い方をしていないと、充分な殺菌効果を得られないこともあるので注意が必要です。

アルコール消毒時の注意点①アルコールの種類

 「アルコール」というと、一般的に思い浮かぶ成分は「エタノール」だと思います。お酒に含まれるアルコールも、このエタノールですよね。

一方で、化学用語としての「アルコール」という言葉は、炭素に対してヒドロキシル基(OH)が結合したものの総称を指します。エタノールを含む様々な化学物質の一般名称を指す言葉なわけですね。

一般にもよく見かける代表的なものとして、

メタノールメチルアルコール

エタノールエチルアルコール

イソプロピルアルコール(別称:イソプロパノール、IPA、2-プロパノール)

などがあります。

このうち「アルコール消毒」用として使われるのが、エタノールイソプロピルアルコールです。

人体への刺激性、消毒効果共に、エタノールよりもイソプロピルアルコールの方がやや高いです。(それほど大きな差ではありませんが。)

日本では消毒用というとエタノールの方が一般的に良く使われていますが、アメリカではイソプロピルアルコールを良く見かけます。

 

アルコールのグレード(消毒用と工業用)

 薬局などで手に入るものは基本的に消毒用として売られているのでどれを選んでも問題ありません。

ネットで購入する場合も「消毒用」と記載のあるものがあればそれを選ぶようにしましょう。

「消毒用」以外のグレードとしては「工業用」などの記載があるものが存在します。

こういったものは主成分が消毒用と同じでも、微量の混ざりものが含まれている可能性があるので、基本的には消毒用に使用することは推奨できません。

ただ、昨今のアルコール商品の品薄状態が続いている状況を見て、厚生労働省が消毒用アルコール以外のアルコール製品でも特例的に消毒用として用いても良いという通達を病院関係者向けに出しています。

厚生労働省からの通達:http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20200324_01.pdf

但し、上記リンク先にも書かれていますが、

・消毒用アルコールが手に入らずやむを得ない場合にのみ使用しても良い

メタノールが含まれているものは避ける

ことが前提となります。

やむを得ず工業用アルコールを買う場合には、成分表を見てメタノールが含まれていないことを確認するようにしましょう。

また工業用を使用する場合も、手指の消毒用ではなく家具や身の回りのものの消毒用に使い、手指は石鹸での手洗いをすることを個人的にもオススメします。

 

アルコール消毒時の注意点②アルコールの濃度

 次に消毒用アルコールを使用する時の濃度についてです。

アルコール製品ならとりあえず何でもOKという訳ではありません。

消毒において最も効果が高いと言われている濃度は70~80%(体積%)くらいと言われています。

それより薄くても濃くても効果が落ちてしまいます。

ただ、適正な濃度の範囲というのはサイトによってある程度幅があるので、厳密に考える必要はないと思います。

参考までに、CDC(アメリカ疾病管理予防センター)では、手指の消毒には濃度60%以上のアルコールを、家具やモノの消毒には濃度70%以上のアルコールを使うように勧告しています。

(参照)Cleaning And Disinfecting Your Home | CDC

 

<濃度70%のアルコール液を作る時の計算例>

・100%(或いはそれに近い濃度)のエタノールの場合

エタノール70mLと水30mLを混ぜましょう。重さの比ではなく体積の比なのでご注意ください。(70gと30gではありません!)

・濃度90%のエタノールの場合

エタノール80mlと水20mLを混ぜれば約70%になります。

 

アルコール消毒のメカニズム

 アルコールがウイルスを殺菌するのは、ウイルスの表面の脂質でできた膜(エンベロープ)を破壊するからです。

イメージとしては、風船(ウイルスの膜)に針(アルコール)を刺すことで破裂するような感じでしょうか。

一度破裂してしまったウイルスは元には戻らないため感染力がなくなるという訳です。

 

先ほどアルコール濃度は70~80%くらいが良いという話をしましたが、なぜこの濃度範囲を守ることが大切なのでしょうか?そこには以下のような理由があります。

アルコール濃度が薄い液だと、殺菌効果が薄れてしまいます。効果がなくなるわけではないですが、殺菌にかかる時間が長くなります。

一方、あまりに高濃度な場合は液体の沸点が関係してきます。

アルコールの沸点は、沸点100℃の水に比べると低いため(エタノール:78℃、イソプロパノール:83℃)、高濃度のアルコールは消毒に使ってもすぐに蒸発してしまいます。消毒に必要な時間は短くても、それ以上に早く蒸発してしまい、この場合にも殺菌が不十分になってしまいます。

また、殺菌のメカニズムとして、アルコールと水が共存してクラスター構造を形成することで殺菌効果を最大限発揮するという報告もあるようです。(https://www.kao.co.jp/pro/hospital/pdf/08/08_05.pdf

上記報告によると、低濃度域と高濃度域では殺菌のメカニズムも変わるとのことですが、殺菌効果が濃度70%あたりで最大になるという結論は一緒です。

 

まとめ:正しく理解してアルコール消毒を活用しましょう

 新型コロナウイルスの感染経路は主に

飛沫感染

接触感染

の二種類です。接触感染では、ウイルスが付着した箇所を触った手で、口や目などの粘膜に触れることで感染を起こします。

アルコール消毒は「接触感染」を防ぐためのものです。

そのため、手指の消毒が最も大切なのはもちろんのことですが、それと同時に日常的に扱うもの(スマホ、PC、眼鏡、etc..)も併せて消毒することが重要になると思います。

(せっかく手指を消毒しても、その後にウイルスのついたものに触ってしまうと台無しですからね。)

アルコールはエタノールイソプロピルアルコール(イソプロパノール)のどちらを使用しても問題ありません。但し濃度は70~80%に調整して使用してください。

 

アルコール類は品切れが起こりがちでなかなか手に入らないかもしれませんが、その時は石鹸での手洗いをしっかり行いましょう。

 石鹸での殺菌メカニズムも、基本的にはアルコールと同じようなもののようです。

 

補足:こまめな水分補給も意識しましょう

 私個人としては、こまめな水分摂取も心掛けています。

口内の粘膜に付着した菌やウイルスが細胞内に侵入する前に洗い流してしまうことで感染を防ぐというものです。20分おきに水分を摂るのが良いらしいです。

一般的な風邪やウイルス対策としてはよく知られていますよね。

実際にどの程度効果があるかは分かりませんが、感染症としての理屈はコロナウイルスでも同じなので、効果があると信じて続けています。

特に買い物などで外出している間は必ず水筒を携帯するようにしています。

お金のかかることではないですし、やっておいて損はないかなと思います。

 

一人でも多くの皆さんが、今日も一日健康で過ごせることを願っています。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

(参考)

https://www.sankyo-chem.com/wpsankyo/2617