ラボサラリーマンの勉強部屋

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研究職サラリーマンがワンランク上の生活を目指して勉強するブログ。副業・趣味・家庭のことなど、雑多な内容を記していきます。

「食品の裏側」(著:安部司) ~添加物に脅かされる日本の食卓

こんにちは!ラボサラです。

 

 最近、私の妻が食に関して色々なことを調べており、私も話を聞いて勉強させてもらっています。

その中で、普段あまり「買ってほしい」というお願いをすることがない妻が「これは是非買って読みたい!」と言ってお願いしてきた本がありました。

それがタイトルにある「食品の裏側」(著:安部司)でした。 

妻の影響で私も食に対する関心が高まっていたので、妻の後ですぐに読ませてもらいましたが、結果としてこの本は私たち夫婦(特に私自身)の食品に対する意識を大きく変えてくれることになったと感じています。

普段何気なく買っていたスーパーの食品(特に加工食品)を見る目が、この本をきっかけにガラッと変わりました。

今日は、この本を読んで私自身が感じたことについて書いていきたいと思います。

以下ネタバレを含んだ内容となっていますので、内容を知りたくない方はお気を付けください。

 

身の回りに溢れている食品添加物

 著者の安部司さんは、元々食品添加物メーカーの敏腕営業として勤務しており、当時から「食品添加物の神様」と言われるほど添加剤に精通していた人物です。

メーカーを退職後は、全国で添加物に関する講演を行なって回り、多くの人に添加物の知識を広めているそうです。

講演の中で、水と白い粉だけから豚骨スープを作ったり、大量のシロップを混ぜた甘い水に、香料や着色料等を加えて市販の清涼飲料水を作ってみせたりと、身近な食品がいかに多くの添加物で出来ているかを分かりやすく伝えています。

 

 私たちが普段何気なく口にしているもののほとんどには、沢山の添加物が含まれています。

色鮮やかに見せるための着色料、日持ちを良くするための保存料、うま味を増すための化学調味料、食感を改善するための増粘剤等々、数え上げるとキリがありません。

彼が実際に携わった食品開発の話もいくつも載っており、食品添加物がいかに便利で使い勝手の良いものかが分かる一方で、その利便性ゆえに今の世の中には想像以上に沢山の添加物が使用されているという事実が述べられています。

印象的だったのは、食品工場で働く人たちは一様に、自分たちの工場で作られた食品は食べたくないと言っていた、という話です。

加工の過程で漂白されたり、白い粉の中に埋もれたりしている食品を見てしまうと食べる気になれないというのは、確かに分かる気がしますね。

「私はそんな添加物まみれの加工食品は普段から食べないよ」という人でも、注意が必要です。

普段何気なく使っている調味料のほとんどに、何かしらの添加物が使用されているのが今や当たり前になってしまっています。

醤油、味噌、みりん、料理酒、etc...

安いからといって選んだその調味料には、その安さの理由が隠れています。成分表を見れば様々な添加物が含まれていることが一目瞭然です。

今や砂糖でさえ、見栄えを良くするために添加物が加えられたりしています。

必要な原料だけを用いて昔ながらの製法で作られた調味料というのは、恐らく今の時代ほとんどの家庭に存在しないのではないでしょうか。

 

食品添加物は本当に安全なのか?

 「添加物といっても、国の基準を満たしているものしか使っていないのだから安全だろう」と考える人も多いと思います。私も深く考えずにそう思っていました。

しかし、よくよく考えてみると、人間には当然個人差があります。性別や年齢、体格、アレルギーや病気の有無など、色々な要素が影響することが考えられます。

体格も良く健康的な大人と、病弱な子どもとでは、食べるものへの感受性が異なるのも当然だと思います。

安全性基準の決め方についてはここでは深く言及しませんが、結果として「国の基準が全ての人にとって安全を保障するものとは限らない」という考えに至りました。

(リンク先の厚生労働省のページに食品添加物の基準量の決め方について説明があります→よくある質問 (消費者向け)

 

また、本書内でも取り上げられていますが、複数の添加物を摂取した場合の安全性というのは確認されていません。

数ある添加物を組み合わせるとなると、膨大な数の組み合わせができてしまい、それら全てに対して安全性を検証するのは現実的に不可能なので、仕方がないことだとは思います。

 ただ現実には、一つの食品に複数の添加物が使用されているのが普通であり、そういった食品を一度にいくつも食べることも良くあることだと思います。そういう状況の中で「それぞれの添加物は安全である」と言われても、あまり安心できないと感じるのは私だけでしょうか?

 

 そして、最も気をつけるべきだと個人的に思うのが、「長期間にわたる継続的な添加物の摂取」です。

短期的な影響は、食べた直後(せいぜい数日内)に見つかるので原因が分かりやすいですが、長期的な影響となると何が原因なのか分かりづらく改善が難しくなります。

また症状として出てくるのが、皮膚湿疹、集中力の欠如、イライラしやすい、お腹を下しやすい(或いは慢性的な便秘)、といったそれほど重篤ではない形として体に表れるのではないかと思います。

これらの症状が実際に食品添加物が原因で起こるかどうか、はっきりしたことは分かりません。

ただ言いたいのは、食品添加物が原因でこれらの症状が出たとしても、それは非常に気付きづらく、そのために改善しづらいものだということです。

生活の中の他の要因でも起こり得る症状であるために、食品添加物を疑うという視点がなかなか持てずにじわじわと健康を侵されていく、という事態にならないかが不安なのです。

 

ちなみに、本書の中では、著者の勤務エリアの周辺だけアトピー性皮膚炎の子どもが他のエリアよりも多かったと書いています。

また、私の妻も渡米してから一年近く、皮膚湿疹や胸の苦しみ(息苦しさ)といった症状に悩まされていましたが、食べるものに気をつけるようになってからこれらの症状はすっかり改善されました。

いずれの場合も本当に添加物が原因となったと断定できるわけではありませんが、可能性としては頭に入れておくべきなのではないかと私は考えています。

 

添加物入りの料理を食文化として誇れるか

 ここまでは健康面での話でしたが、添加物が及ぼす影響は文化面にも及びます。

日本食(和食)は、2013年にはユネスコ無形文化遺産として登録されています。健康的ということで世界的に和食が流行っていますよね。

農林水産省のサイト(「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されました!:農林水産省)によると、日本食の特徴の一つとして、「多様な食材とその持ち味の尊重」が記載されています。

日本食の味として、まず思い浮かぶのが「うま味」です。

そのうま味は本来、煮干しや昆布などを煮出すことで丁寧に時間をかけて抽出します。或いは、醤油や味噌などの調味料も微生物の発酵を利用した食品であるため、作るのには一年単位で時間が掛かります。

しかし、私たちの日常を振り返るとどうでしょうか?

ダシを作る時は、お湯に顆粒を溶かすだけ。味噌汁を作る時は、ダシ入りのインスタント味噌をお湯に溶かすだけ。

これらのインスタント食品に使われているうま味成分は、本来の日本食のような手間暇かけて作り出されたものではなく、「化学調味料」や「タンパク加水分解物」といった食品添加物なのです。

 

 著者も指摘していますが、子どもの頃からこういった「化学調味料」「タンパク加水分解物」を口にすることで、それを本物の味と錯覚してしまう恐れがあります。

それでは、世界に誇る日本食の味を受け継いでいくことはできません。

 

化学調味料」「タンパク加水分解物」の味というのは強烈なもので、人によっては舌が痺れるような感覚になるそうです。(私の妻もそう感じるようです。)

そこまでの感覚はないにしても、私のような決して味覚が敏感ではない人間でも、妻が煮干しや昆布からダシを取り時間をかけて作ってくれた味噌汁の味は、インスタントなどとは比較にならない程美味しいことはすぐに分かります。

 

繊細な味の違いを楽しむ日本食が、日本人にとって味気のないものになってしまっては取り返しがつきません。

日本の文化を守り継いでいくためにも、添加物への依存を極力減らしていく必要があるのではないでしょうか。

 

私たちがすべきこと

 ここまで、本書の内容に沿いながら、添加物に対する問題提起をしてきました。ではそれを知った上で、私たちがすべきことは何でしょうか?

 

 まずは知識をつけることです。

日常的に使用している調味料の作り方を調べ、原材料として何が用いられるのかを知りましょう。その上で、身の回りにある食品や調味料の成分表を見て、どれくらい添加物が入っているかを知りましょう。

醤油やみりんに関しては、余分な材料が入っていない純粋なものが、如何にスーパーの中に少ないかが分かり驚くと思います。

 

 次に、徐々に添加物の量を減らしていきましょう。

どの添加物を避けるべきか、というのは人によっても変わってきますし、全ての添加物の性状を把握して判断するのはとても難しいことです。

そこで、まずは加工度の低い食品を選ぶようにしていきましょう。

例えば、出来合いのハンバーグを買うのではなく、挽き肉+市販のソースでハンバーグを作るようにする。慣れてきたら、今度はソースも手作りにしてみる、といった具合です。徐々に手作りする部分を増やしていくようなイメージです。

そして、使用する調味料も本来の製法で作られた食品・調味料を少しずつでも選んでいくようにすれば徐々に食卓に含まれる添加物は減らしていけると思います。

 

 少しでも多くの人が、日本食の良さを実感し、家庭内でそのありがたみと苦労を共有できるようになって欲しいと、勝手ながらに願っています。

 

今回紹介した「食品の裏側」は、添加物の化学的な知識がなくてもスラスラと読める内容になっています。

添加物について知る第一歩として、気軽に手に取れる本だと思います。

15年くらい前の本ですが今でも(今だからこそ!?)読む価値があると思います。 

ちなみにこの本には続編があります。

この二作目では、遺伝子組み換えや農薬に関するところまで話を広げているとのことで、近々買って読みたいと思っています。

 

 また、今回紹介した本と直接関係しているわけではないのですが、日本食文化を大切にしていくという観点から見た時に、マンガ「美味しんぼ」はとても勉強になります。

単純にマンガとして読んでも面白いです。様々な料理について、料理方法だけでなく、そこに使う素材や調味料についても、考えるべきことが如何に多いかが分かります。 

111巻セットだと1万円以上するのでいきなり買うのはハードルが高いですが、まずは一巻だけでも手に取って読んでみていただきたいと思えるマンガです。

私自身友人から借りて30巻くらいまで読んだことしかないのですが、日本に帰ったら全巻まとめ買いするのも良いかな~と思っています。

 

今回は本のレビューを書いてみました。

長くなってしまいましたが最後までお読みくださったかた、どうもありがとうございました。