ラボサラリーマンの勉強部屋

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新型コロナウイルス(COVID-19)と甲状腺疾患の関係

こんにちは!ラボサラです。

 

私の妻が甲状腺機能亢進症(バセドウ病)にかかり治療中であることから、甲状腺の持病が新型コロナウイルス感染時に症状を悪化させる恐れがあるのか心配になり調べてみました。

同じく甲状腺疾患を持つ人の参考になれば幸いです。

※あくまで医療に関する素人が自力で調べた内容ですので、 本記事の内容は参考程度にしてください。甲状腺疾患をお持ちのかたは治療の方針も含めて担当医師と相談して決めてください。引用元は本記事末尾に記載しておきますので、必要であれば併せてご参照ください。

甲状腺疾患が新型コロナウイルス感染へ与える影響について 

 British Thyroid FoundationAmerican Thyroid Associationのサイトに記載されている情報によると、甲状腺疾患を持っていても、コロナウイルスの感染リスクが高いわけではなく、感染時の重症化のリスクも持病を持たない人と変わらないだろうとのことです。

甲状腺疾患に関わる免疫系というのは、ウイルスが体内に侵入してきた時に働く免疫系とは異なるものであるため、甲状腺疾患を持っていてもそれが免疫不全(=ウイルスに対する抵抗力の低下)には繋がらないと説明しています。以下にBritish Thyroid Foundationのページから該当部分を引用しておきます。

Many people are asking whether having an autoimmune thyroid disease means you are immunocompromised. We can confirm it does not. The part of the immune system that’s responsible for autoimmune thyroid conditions is separate to the immune system that’s responsible for fighting off viral infections, such as COVID-19. Patients who are classified as having a weakened immune system (immunocompromised) are typically those with conditions such as leukaemias, HIV and AIDS, or who are on medicines such as high-dose steroids, immunomodulatory drugs for rheumatoid arthritis or multiple sclerosis, cancer chemotherapy or following organ transplantation.

免疫不全でコロナウイルス感染時のリスクが高いと考えられるのは、白血病HIV、AIDSの患者であったり、病気の治療のために大量のステロイド剤を服用している人が該当するとのことです。

但し、感染症としての症状に影響はなくても、甲状腺疾患がコロナウイルス感染により影響を受ける可能性があるため注意が必要です。それについては次項で触れます。

 

パンデミック中の甲状腺疾患の薬治療について

 レボチロキシン、カルビマゾール(メチマゾール)、プロピルチオウラシルなどの甲状腺疾患の治療薬の服用は、ウイルス感染時には問題にならないようです。そのため、コロナウイルスが蔓延している今の状況でも薬治療の継続は可能です。

 

バセドウ病は薬治療を続けるべき

 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の患者においては、甲状腺ホルモンの数値が安定していないならば、血液検査による経過観察が可能である限り薬治療を続けるべきです。

というのも、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)においては、甲状腺クリーゼという命に関わる症状が起こり得るからです。

甲状腺クリーゼは、甲状腺ホルモンのコントロールが充分に出来ていない患者が強いストレスを受けることで発症します。そのため、未治療あるいは治療初期でホルモン値が正常範囲にないバセドウ病患者が新型コロナウイルス感染により心身ともにダメージを受けてしまうと、甲状腺クリーゼを引き起こしてしまう可能性が考えられます。

甲状腺クリーゼは、薬で治療して甲状腺ホルモンが安定して正常値の範囲に収まっていて自覚症状も落ち着いていれば、発症の心配はありません。

そのため、新型コロナウイルスが蔓延している今の状況でも薬による治療は継続すべきです。 

 

甲状腺眼症を治療中の人は要注意

 甲状腺眼症の人はステロイド剤やミコフェノール酸(MMF)を使った治療をすることがあります。これらの薬は免疫系を抑制する働きがあるため、服用量が多いとコロナウイルス感染時に症状を悪化させる恐れがあります。

British Thyroid Foundationは、場合によってはこれらの薬の服用を一時的に(パンデミックが落ち着くまで)延期させることも考えると良いとしています。

しかし、ステロイド剤の急な服用中止は、命に関わる副腎クリーゼや副腎出血を起こす恐れがあるため、減らすとしても徐々に減らす必要があるようです。(長崎甲状腺クリニックのページより)

薬の服用をどうするかは眼症の進行度にもよるため、いずれにしても医師と相談の上で判断することが大切です。

 

薬の副作用(無顆粒球症)には気を付けましょう

 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の治療薬である抗甲状腺薬(antithyroid drug)には、無顆粒球症という副作用を起こす可能性があります。

無顆粒球症とは、血液中の白血球の成分のうち顆粒球(特に好中球)が減少し、ほとんどなくなる病気です。

上述した通り、抗甲状腺薬の服用はコロナ感染に対して問題にはならないのですが、この副作用が出た場合は話が変わります。

無顆粒球症になると感染症にかかりやすくなり、肺炎などの重症感染症を引き起こす危険があるためです。

そのため、薬を服用している間は甲状腺ホルモン値とともに白血球の数も経過観察する必要があります。(顆粒球数が<1.0×109/Lとなったら赤信号)

厄介なことに、無顆粒球症の初期症状(発熱、せき、インフルエンザのような症状)はコロナウイルス感染時の症状と重なる部分があり、区別がつきにくいそうです。

そのためBritish Thyroid Foundationは、抗甲状腺薬を服用している人が無顆粒球症のような症状を発症した場合、直ちに薬の服用を止めて血液検査(顆粒球数の検査)を行なうよう勧めています。状況に応じてCOVID-19の検査も併せて行なってもらうよう書かれています。

American Thyroid Associationは、薬の服用中止については言及しておらず、まずは医師に相談するように、としています。

初期症状を見逃さないよう、日頃から体調を記録しておき、何か変化があったら早めに医師に相談するのが大切ですね。薬の服用については自己判断せずに医師の指示を仰ぎましょう。

 

まとめ

・治療により甲状腺ホルモン値が安定しているのであれば、甲状腺疾患を持つ人の新型コロナウイルスの感染リスクは通常の人と変わらない。

・一方で、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)でホルモン値がコントロールできていない状態であれば、感染により甲状腺クリーゼを引き起こす恐れがあるため、リスクは高くなる。

・いずれにしても予防が一番大切なので、甲状腺疾患の有無に関わらず日頃から手洗いうがいや消毒を徹底しましょう。

 

結局はコロナウイルスに感染しないことが最優先なので、充分に気を付けて過ごしてください。

予防をしっかりした上で、なるべくストレスを溜め込まないようにリラックスできる環境を整えましょう。

 

甲状腺疾患の治療方針は、患者さんの病症と状況により変わるため担当医とよく相談の上で決めるようにしてください。

※本記事は下記ページの情報を基に作成しています。 

 

(参考ページ)

Thyroid disease and coronavirus (COVID-19) | British Thyroid Foundation

Novel Coronavirus (COVID-19) and the Thyroid: Frequently Asked Questions | American Thyroid Association

甲状腺と新型コロナウイルス[橋本病 バセドウ病 甲状腺超音波エコー検査 長崎甲状腺クリニック大阪]

無顆粒球症について | あすか製薬株式会社-メルカゾールを安全にお使いいただくために-