ドルコスト平均法でS&P500を買い続けたらどうなるか? ~つみたてNISAのシミュレーション①
こんにちは!ラボサラです。
今日は、つみたてNISAのシミュレーションをした結果についてお話ししたいと思います。
「長期投資をすれば(ほぼ)確実に儲かる」という類の話は、つみたてNISAについて調べている人なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
とはいえ、これまで株式投資をしたことがない人の中には「株や投資信託というとギャンブル的な要素があって、危なさそうだし不安」という気持ちが拭い去れない人も多いのではないでしょうか。
確かに投資に対する敷居は年々低くなってきており、誰でも投資を始めやすい世の中になっているのは事実です。しかし何も勉強せずに投資を始めて、知識のないままに続けていくのはやはり危険でしょう。
投資初心者の人が抱く「投資はなんとなく怖いもの」という感覚は、投資を始めるにあたって、大切に持っておくべき感情なのではないかと個人的には思います。
(分からなくて怖い・不安という気持ちがある方がちゃんと勉強しようという気になりますもんね。)
今回は、そんな投資初心者ならではの不安な気持ちを持つ私が(笑)、少しでも長期投資のイメージを持つために、つみたてNISAのシミュレーションを紹介する記事です。
今回のシミュレーションでは、投資先として人気の高い、アメリカを代表する経済指数S&P500に連動する投資信託を対象としています。
前置き
まずは今回のシミュレーションにあたって、知らない人でも記事内容を理解できるように前提となる部分を最初に簡単にお話しします。
つみたてNISAとは?
金融庁のページでNISAは以下のように説明されています。
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。
NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。
引用元:NISAとは? : 金融庁
つみたてNISAでは、この「NISA口座」に積み立てられる金額の上限が「年間40万円」と定められています。また、この「年間40万円」の枠を最大20年間まで利用できるようになっています。つまり、最大で800万円(40万円×20年間)の投資枠が利益非課税で利用できるということです。
また、つみたてNISAにおいては、投資先を金融庁が選定してくれており、ある程度信頼性の高い(=長期的に利益を出すことが期待される)ものしか対象となりません。
投資初心者が「長期積立て投資」を始めやすいように国が整備してくれた制度といえますね。
ドルコスト平均法とは?
次に、タイトルにもある「ドルコスト平均法」についてです。
これは投資手法の一つで、「定期的に定額を積み立てていく」手法のことです。
株価の変動を気にせずに淡々と買い付けを進めていくだけ、というお手軽な手法でありながら、長期で続けていくと非常に勝率の高い手法であることから人気の高い投資方法です。
つみたてNISAで「年間40万円」という低い上限額と「最大20年間」という長い運用期間が設定されているのも、このドルコスト平均法に沿った投資ができるようにするためです。
積立てNISAを利用する多くの人が、月額約3万円(40万円÷12ヶ月=33,333円)を積み立てることで投資しているのではないでしょうか。
このように、ドルコスト平均法はある意味で国も推奨するくらい優れた投資手法なのです。
アメリカを代表する経済指数「S&P500」
投資に関する基礎部分をお話ししたところで、次は今回のシミュレーションの核となるS&P500について説明します。以下はWikipediaに載っているS&P500の説明です。
ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出される、時価総額加重平均型株価指数である。本指数はアメリカ合衆国企業の株価指数であることを意図しており、上記の証券取引所の上場銘柄であっても、アメリカ企業でないと判断された銘柄は本指数の対象外となる。
平たく言うと、アメリカを代表する企業500社の株価の平均をとったもの、ということですね。ここには、GAFAM(Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft)を初めとする誰もが知っているアメリカの超有名企業が含まれています。
S&P500の株価推移
以下にS&P500の株価推移のグラフを示します。(1927年~2020年)
(元データ:Yahoo Finance)
絶対値が小さくて分かりづらいですが、1929年には世界恐慌による株価暴落を経験しています。その後、2000年代にITバブル崩壊、リーマンショックと二度の大きな暴落を経験しつつも、全体としては右肩上がりに成長していることが見て取れます。
世界一の経済大国であるアメリカが投資先として人気である理由が分かりますね。
つみたてNISAでS&P500に投資した時のシミュレーション
前置きが長くなりましたが、いよいよここからS&P500に積み立て投資をした時のシミュレーションに移りたいと思います。
シミュレーションの前提として、
月額33,333円(年間約40万円)を20年間投資し続ける(=元本800万円)
という、つみたてNISAに沿った方法で投資するものとします。
今回のシミュレーションでは為替を考慮していませんのでご了承ください。
(1996年以前のドル円為替レートのデータが手に入らなかったためです。。)
また、話を簡略化するために、信託報酬などの手数料についても考慮していません。
シミュレーション①直近20年間(2000~2020年)
まずは、直近20年間でのシミュレーションです。
2000年(ITバブル崩壊直前)から、2020年までのS&P500の株価推移を切り取ったグラフがこちら↓↓
結果だけ見れば、株価は投資開始時と比べて2倍近くまで伸びています。
しかし、投資開始後すぐに株価は下がり始め、2年近くかけて半値近くまで下がっています。ようやく元の株価まで戻ったと思ったら次はリーマンショックで再度半値まで下がっています。
この苦難の時期にも投資を続けて、それを乗り越えるというのは想像以上に大変なことだと思います。
しかしそれを乗り越えることで、最終的なリターンはとても大きなものになっています。投資シミュレーションの結果はこちらです↓↓
元本800万円に対して、資本金は最終的に1442万円と、1.8倍に増えています。
これは年率に換算すると6%弱に相当します。
これくらいのリターンが得られれば投資としてはかなりの成功と言えるのではないでしょうか。
シミュレーション②リーマンショック直後に20年間の積み立てが終わった場合(1989~2009年)
直近20年でのシミュレーションでは、ここ10年の株価の伸びが大きかったことで投資成果がかなり良いものとなっていました。ある意味ハッピーケースを想定したものと言えますね。
では、次はあまり目を向けたくないワーストケース(最も悪いと思われるパターン)について考えてみましょう。
リーマンショック時の、株価が最低を記録した時点で積み立ての20年を終えたケースです。
期間としては、1989年3月から2009年2月(リーマンショック時の最低額を記録した月)となります。その期間でのS&P500の株価推移を切り取ったグラフがこちら↓↓
100年に1度と言われるような歴史的な金融危機に直面した時に積み立て期間が終わるというシナリオを想定しているわけですが、それでも投資開始時と比べると株価は高くなっていますね。
では、投資成績はどうなるでしょうか。結果はこちらです↓↓
シミュレーション①と比べると非常に成績は悪いですが、意外なことにそれでも元本割れはしていません。
元本800万円に対して最終的な資産額は850万円となっています。(年率換算で0.5%強)
リーマンショックにより大きく資産額(グラフの緑線)が減っているものの、それでも元本割れしないというのはすごいですね。
年率換算で0.5%なら銀行預金よりは利率が高いですよね。笑
(実際には、せっかく増えていた資産がこれだけ減っていくのを見るのはかなりツラいとは思いますが。。)
シミュレーション③ITバブル崩壊後20年間の積み立てが終わった場合(1989~2009年)
では、次はITバブル崩壊後の底値で20年を迎えた場合を想定してみましょう。
ITバブル崩壊後に底値を示したのは2002年9月でした。ここで積み立てを終えるということは1982~2002年の20年間に投資をすることになります。その間の株価推移はこちら↓↓
そして、積み立ての結果がこちら↓↓
なんと元本800万円は1794万円にまで成長しています。(約2.2倍)
これは年率換算で約7%となります。
ワーストケースを求めてシミュレーションした結果、今回取り上げた中で最も良い成績が出るという結果に。笑
よく見てみると、この期間はITバブル崩壊まで非常に順調な右肩上がりを示しています。むしろこんなに良い期間の方が珍しいのかもしれませんね。。
シミュレーション④世界恐慌時(1927~1947年)
では時代を大きく遡って、S&P500のデータがある中で最も古い時代を見てみましょう。そう、世界恐慌のあった時代です。
こうなったら何とかして元本割れしそうな悪いケースを考えておきましょう。笑
世界恐慌前の20年というのはデータがないので、20年の間に世界恐慌が起きたら、という内容でのシミュレーションになります。
この時期(1927~1947年)のS&P500の株価推移は以下の通りです。
そして、この期間に積み立て投資をしていた場合のシミュレーション結果がこちら↓↓
なんと、ここでも投資結果はプラスになっています。
元本800万円に対して資産額は997万円(約1.25倍)、年率換算で2%くらいになります。
流石に世界恐慌中は元本割れを起こしている期間が長いものの、20年経過した時点ではしっかりと利益を出しています。
投資開始時の株価($17.7)と比べて20年後の株価($15.0)が低いにも関わらず、積み立て期間中の株価がそれよりもさらに下がっていたことで、最終的に利益が出たわけですね。
これはドルコスト平均法の強みが顕著に出た良い例だと思います。
まとめ
今回シミュレーションした4パターンの結果は以下の通りです。
いずれの場合においても、資産額が元本を下回ることはありませんでした。
株価の暴落が起きても、それを上回る成長を遂げてきたのがアメリカということですね。流石は世界一の経済大国です。
また、シミュレーション④で見た通り、世界恐慌のような長期に渡る不景気の時でさえ、ドルコスト平均法による長期投資はプラス収支になるということも示すことができました。
今回のシミュレーションで、ドルコスト平均法を用いてアメリカに長期投資することがいかに有力な投資手法であるかが実感してもらえたでしょうか。
「投資はギャンブル、怖いもの」という感覚を持っている人からすれば、長期投資は思った以上に堅実な資産形成の手段なのだということも分かってもらえたのではないでしょうか。
もちろん、これはあくまで過去のデータを基にしたシミュレーションであって、将来にわたってこのような成果を保証してくれるものではありません。
しかし、「長期投資をすれば(ほぼ)確実に儲かる」と冒頭で話したことは間違いではないということは理解していただけたかと思います。
注意点として、「長期投資=儲かる」のではなく、「適切な投資先への長期投資=儲かる」ということです。
「適切な投資先」というのはアメリカのような、長期的に見て経済成長が見込める国・地域を選ぶということと、手数料が低い投資信託商品を選ぶということを意味しています。
今回のシミュレーションでは手数料を考慮せずに結果を示しましたが、シミュレーション②においては、手数料が0.5%あれば元本割れを起こすという結果になります。
今は手数料の低い商品が沢山出てきているので、間違っても銀行窓口などで手数料の高い商品を買うようなことのないようお気をつけください。
次回は同様のシミュレーションを日経平均株価を用いて実施した結果を記事にしたいと思います。経済成長が滞っている日本においても長期投資が利益を生み出してくれるのか?乞うご期待です。笑
※2020/4/3追記
日経平均株価での積み立てシミュレーションの記事を掲載しました。どんな結果になるのか、気になる方は是非読んでみてください。
labosala-studyroom.hatenablog.com
最後までお読みいただきどうもありがとうございました。
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